月刊笑いに生アクセス NO.33 2006/12/27
毎日新聞夕刊掲載 ネット版
とぼけ真面目コントのTHE GEESE
800、400、300、200、80、この数字は、THE GEESE(ザ・ギース)という二人組コントを何度か見た会場の収容人数。
コントには、落語のように最初に観客と同じ土俵を形成して笑いやすくするためのマクラのようなものがない。
いきなり、とあるシーンから入る。観客はセリフや動きを追いつつ、やがて場所・時間・登場人物の関係性を読み解いていく。
それはまるでごく少ない証拠から、犯人や犯行を特定する捜査官の仕事に似ている。
ありきたりの設定から、想定外の展開であざむき、してやられた!と観客を笑わせるには、完全犯罪の遂行にも似た計画性のある台本とキャストが必要とされる。しかもほんの10分ほどでそれはなされなければならない。このスリル。
古典的な基準で言うなら、さして演技が上手でもなく、お客を笑わせる芸があるわけでもない二人が、まちまちな観客、異なった広さの会場で意図した笑いをコンスタントにコントでとっていけるのは、ひとえにアイデア。
起承転結の「起」を真面目なとぼけ顔でこなしていくTHE GEEESE。
先日あった単独ライブのオープニングでは、机の上に顕微鏡が置かれた研究室とおぼしき部屋で、上司がいなくなったと探し回る二人。顕微鏡をのぞいた一人が「あ、こんなところにいたんですか!部長!」。
ライブのタイトルは「微生物の友」。
ユニット結成の初コントは言葉と体のちぐはぐを描いた。
スーツを着た二人が机を間に向かい合う。
背の高い尾関がおどおどと新企画をプレゼン、説明に邪魔な名詞が口から飛び出す。「カバン、カバン、名刺名刺、メガネ、メガネ」。
聞くと、青年は、ヘレンケラーが水を触って単語「water」を覚えた例にならって同じように母から育てられたがため、触ったものの名前を一度は口にせざるをえないやっかいな病気持ち。
悔しがって「大地、大地」と地面を叩けばコントは地球規模に。
日常を遠近法で組み立てて、07年、吉と出そう。
■年をまたいで笑ってノロ撃退■
「だるま食堂 単独ライブ 特別スペシャルバージョン・ボインボインショー&爆笑コント」12/28 午後3時と7時半。下北沢「劇」小劇場。
03-3372-1481落語王
「花形演芸会」1/21.半蔵門・国立演芸場。三遊亭天どん、だるま食堂、林家たい平、オオカミ少年、U字工事、ポカスカジャン。0570-07-9900国立劇場チケットセンター |